サバンナ高橋が初めて”ドラえもんのひみつ道具”を使えた日
公開日:2018/02/23
現在、3月3日より全国公開となる『映画ドラえもん のび太の宝島』とコラボしたリアル脱出ゲーム『のび太の宝島からの脱出』が絶賛開催中だ。今回は『ドラえもん』とリアル脱出ゲームの大ファンで、『映画ドラえもん のび太の宝島』ではゲスト声優も務めているお笑い芸人のサバンナ・高橋茂雄さんと、SCRAP代表の加藤隆生の対談が実現! 公私共に交流のある2人が『のび太の宝島からの脱出』について、語り尽くす!
(なお、対談の収録は高橋さんが公演にチャレンジした直後に行われた)
――まず最初にお二人の出会いについて、お教えください。
サバンナ・高橋茂雄(以下、高橋) 4年くらい前に僕が出演したテレビ番組で、「大学生がリアル脱出ゲームを作る」という企画があったんです。そのゲームを審査するということで、加藤さんに出ていただいて。当時、僕はリアル脱出ゲームをやったことがなかったんですけど、そこで加藤さんとお話をして「めちゃくちゃ面白い!」と思ったんです。
SCRAP代表・加藤隆生(以下、加藤) その時点で確か、高橋さんはSCRAPのグッズ「謎箱」をやってくれていたはず。その話をして「良い人だな」って思った記憶があります。
高橋 ちょうどその頃に加藤さんが『情熱大陸』(TBS)に出ていたのも見てたんで、その“情熱”が残った状態で話してましたね(笑)。
加藤 「色々やりましょう!」って言われたけど、最終的に連絡先を聞かれなくて……。結局、「連絡先を交換しましょう」って言ったのは僕からでしたよね?
高橋 そうでしたっけ(笑)。そこからLINEのやりとりやお食事に行かせてもらったりしてます。僕がリアル脱出ゲーム大好きなので、自分の参加したゲームがどれだけすごかったのか、というのをファンとして加藤さんに伝えてる感じです。
加藤 高橋さんは良いところを探してくれますよね。僕ら制作者にとって、悪いところは自分たちから見てもパッとわかるけど、良いところというのは実は作っている最中にはハッキリと意識していないところがあるんです。だから、高橋さんと話しているとすごく参考になります。リアル脱出ゲームへの愛も伝わってきますしね。
ただ、高橋さんは“太鼓持ち芸人”って呼ばれてたんで、最初の1年くらいはおっしゃってることが本心なのか疑ってました(笑)。
高橋 その肩書は40歳の時に品川の海に捨てました! もうええ年なんでね(笑)。
僕、リアル脱出ゲームは本気で好きなんですよ。だから、SCRAPのクリエーターを尊敬していますし、「こんなに面白いものを作る人たちってすごい!」といつも思ってます。加藤さんと話す時も、あえて良いところを言おうとは思ってないんです。ただ、遊んだ後の熱量で喋ってるだけ。いつまでもリアル脱出ゲームのファンでいたいですね。
楽しみすぎて前日の夜、眠れなかった
――今回、高橋さんが声優としても出演する『映画ドラえもん のび太の宝島』とリアル脱出ゲームがコラボすることとなりました。コラボのきっかけは?
加藤 僕が『映画ドラえもん のび太の宝島』で脚本を手がけている川村元気くんと、もともと友達だったんです。それで、川村くんから「加藤くんに会いたがってる人がいるからおいでよ」と言われて行ったら、藤子プロの方がいらっしゃって。その方もリアル脱出ゲームが好きということだったんです。
高橋 『のび太の宝島からの脱出』は、『映画ドラえもん のび太の宝島』のプロローグみたいな感じですよね。僕は映画でトマトという海賊を演じているので、『のび太の宝島からの脱出』のオープニングアニメが始まった時には「トマトが出てくるんちゃうか!?」と、ドキドキしてたんですよ! まぁ、まったく出てこなかったんですけどね……。
加藤 コンテンツディレクターの山本渉に聞いたら、「検討はしたけど、トマトの見た目が特徴的すぎたので出さないことにした」と言ってましたよ。
高橋 (悲しそうに)山本先生〜!!
――(笑)。高橋さんは実際に『のび太の宝島からの脱出』をプレイしてみて、いかがでしたか?
高橋 快作ですね! もう最高の気持ちです。それこそ、僕がめちゃくちゃ好きな『ドラえもん』のリアル脱出ゲームということで、ちょっと怖いくらい楽しみだったんですよ。前の日の夜は寝れなかったです。ほんまに!
加藤 『ドラえもん』の関係者の方からも、プレイする前から高橋さんが『ドラえもん』のリアル脱出ゲームについて熱弁しているという話を聞きました(笑)。
高橋 『ドラえもん』のスタッフの方で、『のび太の宝島からの脱出』で初めてリアル脱出ゲームに挑戦するつもりの人がいたんですよ。ただ、僕としては一番最初に『のび太の宝島からの脱出』をやってしまったら、もう面白すぎてショックを受けてしまうぞ! と。それなら、まずリアル脱出ゲーム自体の面白さを知った上で、『ドラえもん』とコラボした『のび太の宝島からの脱出』をやったほうが良いと思って、そのスタッフを別のリアル脱出ゲームに連れて行ったんですよ。そうしたらめちゃくちゃハマって、加藤さんのことを神のように崇めてた(笑)。
加藤 後日会った時、すごい熱量で話しかけられました(笑)。
――『のび太の宝島からの脱出』は4人一組でのプレイですが、高橋さんはどなたとプレイされましたか?
高橋 僕のリアル脱出ゲーム仲間とプレイしました。リアル脱出ゲームにハマってから自分の身近な人を誘って、「リアル脱出ゲームが好き」ってなった人は“リアル脱出ゲーム仲間”になるんです。やっぱり、一緒にリアル脱出ゲームをプレイをすると仲良くなれますよね。そんな厳選された仲間で挑んだんですけど……。
――脱出には失敗されていましたね。
高橋 はぁ〜(深い溜め息)。むちゃくちゃ悔しい。最後の最後の謎が難しくて、解けなかったんですよ。でも、リアル脱出ゲームの悔しさはリアル脱出ゲームでしか晴らせないので、この対談をすっぽかして、今すぐ東京ミステリーサーカス【※】に行きたい(笑)。
【※新宿にある、SCRAPが運営する“世界一謎があるテーマーパーク”】
加藤 僕が来た時は、ちょうど反省会をしてるところでしたね。
高橋 毎回、リアル脱出ゲーム仲間と反省会をして万全に備えてきたのに、やっぱり失敗してしまう。リアル脱出ゲームの奥深さって、そこなんですよね。
加藤 高橋さんは本当に良いお客さんで、僕らが考える失敗してほしいところで失敗してくれるんですよ。変な考え方をしてしまって、変な失敗をすることがない。一番画になる失敗をしてくれます(笑)。
高橋 ベタな人間なんですよ……。
まずは、のび太やジャイアンになりきること
――『のび太の宝島からの脱出』では、ドラえもんを救うためにプレイヤーはのび太、スネ夫、ジャイアン、しずかちゃんになりきってプレイをします。高橋さんはどのキャラでプレイされましたか?
高橋 僕はのび太だったんですけど、オタオタしてしまうところは本当にのび太でしたね。ゲーム中、キャラになりきって声を出すんですけど、物語の世界に入れて本当に楽しかったです。ジャイアン役をやったやつは張り切りすぎて、喉を痛めてました(笑)。
加藤 『ドラえもん』は本当に長い間愛されてきたキャラクターで、みんなが思い入れのあるシーンだったり世界観を持っていると思うんです。僕自身、小学生の時にマンガ『ドラえもん』を読んで、一番最初に見に行った映画は『ドラえもん』でした。それで「日常にドラえもんがいたら、どうなるんだろう?」ということをずっと考えてきました。
だから、『のび太の宝島からの脱出』を作る時には「『ドラえもん』の世界に入ったような感覚になるためには、どうしたらいいか」というのをすごく考えたんです。「キャラクターになりきる」というアイディアを出したのはディレクターの山本ですが、すごくうまくいってると思います。
高橋 昔、「リアル脱出ゲームで脱出するためには、いかに物語の中に入り込むかが大事」と、加藤さんに教えてもらったことがありましたよね。自分が作品の世界に入らなかったら、脱出なんかできない。だから、まずはキャラになりきることだ、と。友達が見てる前では恥ずかしいかもしれないですけど、プレイヤーの方はそういった恥ずかしさを取っ払って物語に入ってほしいですよね。
加藤 物語の中に入れば謎を解きやすくなるし、なによりそっちのほうが楽しめます。僕らがリアル脱出ゲームでコラボ作品を作る時に一番大事にしてるのって、“よりキャラクターの気持ちがわかるようになること”なんです。
『のび太の宝島からの脱出』を通じて、「ドラえもんを助けたい」と思うのび太くんの気持ちや、ドラえもんを助けることができた時の気持ちを感じてもらいたい。それを一度体験した上で、原作のマンガや『映画ドラえもん のび太の宝島』を見ると、また違った気持ちになれるはずです。だから、リアル脱出ゲームを経験することで、よりキャラクターの気持ちがわかって作品に触れられることができたらいいな、と思いながら作っています。
高橋 実際に、めちゃくちゃ面白かったです。しかも、のび太、スネ夫、ジャイアン、しずかちゃん、それぞれのキャラクターでできることが違ってくるんですよ。だから、すべてのキャラで遊びたくなるけど、リアル脱出ゲームは一回だけの体験なんで、それができない。なので、ぜひ来年も『ドラえもん』とコラボしてほしいです。その時は、僕はスネ夫でプレイします!
加藤 後で藤子プロの方と話しておきます(笑)。
高橋 基本的に脱出ゲームの悔しさは脱出ゲームでしか晴らせないんですけど、今回に限っては脱出に失敗しても、『映画ドラえもん のび太の宝島』でのび太やスネ夫、ジャイアンにしずかちゃん、そしてドラえもんが活躍するのを見れば、その悔しさも晴れるはず。もう映画館の隣で『のび太の宝島からの脱出』をやってほしいです(笑)。
初めて“ひみつ道具”を使えた日
――“ドラえもん大好き芸人”として知られる高橋さんから見て、今回の『のび太の宝島からの脱出』で特に魅力を感じた部分は?
高橋 『ドラえもん』のひみつ道具って、現実では使うことができないじゃないですか。でも、今日『のび太の宝島からの脱出』をやって、僕は初めて「ガリバートンネル」や「タイムふろしき」を使えたんです。“ひみつ道具を使える”という体験ができる。これはすごいオススメです。
加藤 ひみつ道具があった時に「どういう使い方があるのかな?」と考えて、自分で能動的に使ってみるという体験は、非常にエキサイティングなものだと思います。ひみつ道具を使う楽しさというのは、今作の狙いのひとつでもあります。
ちなみに、『のび太の宝島からの脱出』制作にあたって、「ドラえもんが万能すぎる」という悩みがあったんですよ。ひみつ道具を使ったら、すぐに解決できてしまう……。でも、多分これまで『ドラえもん』の劇場版を作ってきた人たちも、これと同じ苦しみを味わってきたんだろうなって。劇場版だと、ドラえもんがどこでもドアを忘れてきたり、テレビ版では起こらないトラブルが起こりますよね。僕らとしては、そんな『ドラえもん』を作る人たちの気持ちにもなれました(笑)。
高橋 確かに(笑)。多分誰もが「リアル脱出ゲームと『ドラえもん』が組んだら面白いだろうな」と想像したことがあると思うんですけど、本当にむちゃくちゃ相性が良いんですよ。だから、SCRAPのクリエイターの苦労を考えないんだったら、来月から毎月、リアル脱出ゲームと劇場版『ドラえもん』の過去作のコラボを一作ずつやってほしい。『ドラえもん のび太の恐竜』から始めてもらって(笑)。
リアル脱出ゲームのコラボ作品だと、自分が原作を知らないゲームをプレイすることもあって、それも楽しいし新しい作品に触れるきっかけにもなってるんですけど、やっぱり原作を知ってるほうが思い入れを持ってプレイできるんですよ。
ただ、『ドラえもん』に関しては、まず作品を知らない人がいない。だから、参加する人みんなが作品について最大限に共有して楽しめるっていうのは、すごい面白いと思います。みんながストーリーを知ってる過去の劇場版『ドラえもん』のリアル脱出ゲームを作ってもらえたら、「あの映画では、どんな謎を作るんだろう?」って想像も広がりますし。
ドラえもんがいれば、新しいルールを作ることができる
――お二人が考える『ドラえもん』という作品の魅力はなんですか?
加藤 『ドラえもん』と一緒に育ってきて、ありとあらゆることを『ドラえもん』から学んだ気がします。ひみつ道具ひとつ取っても、「もしアンキパンがあったら、僕はどうやって使うのか?」ということをいくらでも考えられる。そういう想像力の余白のある不思議なもの、“ひみつ道具”が何百、何千と描かれて残っているというのは本当に素敵なことだと思います。
高橋 『ドラえもん』って「あの時に見た」って記憶がないんですよ。幼い頃からずっと一緒にいる存在なので。それでいて、短いページ数でしっかりとしたストーリーを面白く読ませてくれるマンガの魅力もあるし、アニメにはアニメの面白さがあって、映画で伝えてくれるメッセージもある。だから、『ドラえもん』についてはずっと話していられる。そんなすごい存在ですよね。
加藤 先日の「THE ドラえもん展 TOKYO 2017」もそうですけど、今も『ドラえもん』は進化しているんです。「ドラえもん」という装置が素晴らしいから、その周りにたくさんのクリエイターが集まってきて、原作の藤子・F・不二雄先生が亡くなった後もみんながドラえもんを愛して、育てている。藤子プロのパーティにお邪魔しても、そこにいる全員が「どうやったら『ドラえもん』をもっと面白くできるのか」ということを考えている空間だったように思います。
――「もし、また『ドラえもん』とコラボするなら、こんなことをしたい」というアイディアはありますか?
高橋 聞きたい!
加藤 リアル脱出ゲームというのは、ひとつ“確実なルール”みたいなものがないといけない世界観だと思うんです。ほとんどのリアル脱出ゲームにおいて、この“確実なルール”というのは“この現実世界で起こる”ということ。逆に言うと、現実で起こらないことはリアル脱出ゲームの中でも起こらず、”異常に不思議なことは起こらない”というルールが設定されています。
ただ、「ドラえもん」という不思議なロボットがいれば、普通だったらできない新しいルールを付け加えることができるんです。例えば、「もしもボックス」を使って「会話が全部謎かけになってしまった世界」を構築することができて、その世界であれば、パズルや謎が出て来る意味や理由もある。そんなふうに「ドラえもん」という存在によって、“新しいルールを持った世界の中でのリアル脱出ゲームを作る”というのは、やってみたいですね。
――最後に、『のび太の宝島からの脱出』を楽しみにしている方へのメッセージをお願いします。
高橋 本当に、40歳を越えても楽しみ過ぎて眠れないことがあるんだな、と(笑)。寝不足で脳も働かないかと思ったら、ゲームが始まると頭はバキバキに冴えたんですけど、それでも僕は脱出できませんでした……。僕のかたきは、ぜひこれを読んだのび太、スネ夫、ジャイアン、しずかちゃんに取ってもらいたいと思います。絶対に行ったほうが良いですよ!!
加藤 『のび太の宝島からの脱出』では、『ドラえもん』という豊かな世界にこれまでとは違う触れ方ができるイベントだと思っています。「見る」とか「読む」とかではなく、自分が作品の世界の中に入り込んで「ドラえもんを助ける」という体験を通じて生まれた感情は、これまで誰も味わったことがないはずです。ぜひ、楽しみにして遊びに来てください。
イベント詳細は下記特設サイトより!
「のび太の宝島からの脱出」特設サイト
http://realdgame.jp/doraemon2018/