5分間リアル脱出ゲーム シナリオ例
書籍『5分間リアル脱出ゲーム人生』に収録されたゲームのシナリオです。謎のネタバレはありません。
●タイトル
密室トイレからの脱出
●リード
今日は高校の卒業式。あなたは卒業生代表として答辞を読むことになっていた。
しかし、突然トイレに行きたくなり、あなたは式を抜けて校舎のトイレに向かう。
用を足して落ち着いたところで、外からガタンという音が。
ドアを開けようとすると開かない。完全に閉じ込められてしまった……!
このままでは答辞に間に合わず、大恥をかいてしまう……!
●ストーリー
トイレから出られない……! いつのまにやら扉に文字入力式の鍵がかかっている。
どうやら、謎解き部が顧問の先生のために仕掛けた謎が作動してしまったようだ。
壁には手紙が貼られていた。
先生へ 3年間お世話になりました。僕たちからサプライズのお礼として、謎解きを用意したよ。
先生にサプライズがバレないよう、覗き穴を覗かないと問題が見えないようにしたんだ。
この謎を解けば、僕たちの大切なものが分かるはずだ。それが鍵を開けるためのキーワードだよ。
謎解き部 3年部員一同
答辞の時間まであとわずか。何とかこの謎を解くしかない……!
●謎パートの概要
小問は4問程度。主人公が閉じ込められた個室のさまざまな場所に穴があり、トイレの左壁2箇所の穴、右壁2箇所の穴を除くと、壁にそれぞれ問題が貼られている。また、扉の穴を見ると、壁にトイレの見取り図があり、場所に合わせた解答を書き込めるようになっている。
しっかり位置関係を把握しないと解けない謎。
●エンディング
導き出した答えを入力した瞬間、カチャリという音がした。
「やった、開いた!」
僕はドアを開き、勢いよく卒業式の会場……体育館へと駆け出した。
そっと体育館に入ると、まだ2年生が送辞を読み上げている最中だった。
僕が控え場所にたどり着くと、そこで待っていた先生に、あからさまにホッとした顔を向けられる。
「すみません! ただいま戻りました!」
そのタイミングでちょうど送辞が終わる。僕は後輩と入れ替わりに壇上へと上がり、無事に答辞を読み上げることができたのであった。
僕の卒業式はここで終わり……ではない。もう1 つだけ続きがあった。すべてが終わり、学校から出ようとしたとき、ずっと片思いをしていた女の子から声をかけられたのだ。
「あの、これ……!」
渡されたのは一通の手紙だった。僕がそれを受け取ると、彼女はそのまま足早に立ち去ってしまう。1人になった僕が手紙を開くと、中には「君のことが好きです」とひとこと。僕はあわてて彼女の背中を
追いかけるのであった。
僕の人生における青春の思い出は、ここで本当におしまい。