みなさん本は読んでいますか?
ネットもいいですが、落ち着いて作者の声に耳を傾けられる本もまた魅力がありますよね。
又吉直樹さんの『火花』が芥川賞を受賞してもう1年。早いものです。
250万部も売れたので、きっと皆さんの家にもあるでしょう。
今年の上半期の発表ももうすぐですが、何となく山崎ナオコーラさんが取りそうな気がします。
当たったら何かいただけたら幸いです。
SCRAPが出版社を作った理由
さて、本題です。
既報の通り、弊社SCRAPは、出版社を立ち上げることになりました。
出版社名はもうご存じですね。
SCRAP出版
はい、分かりやすさを重視した結果です。
ちなみに他の有力候補は「SCRAP BOOK」でした。
そしてSCRAP出版のキャッチフレーズは……
謎専門出版社
世の中いろんなジャンルの専門出版社がありますが、なかなか特殊な出版社なのではないかと思います。
・リアル脱出ゲームが好きなので、家でも楽しみたい
・なかなかイベントには参加できないけど、自分だけの物語体験をしたい
・本が好きで、面白い本を求めている
なんて方に向けた書籍を作っていければと思ってます。
では、なぜ出版なんでしょうか?
弊社、もともとフリーペーパーを出していた会社なので、何ら不思議な話ではありませんが、イベント企画制作会社として知られている今は、疑問に思った方も多いかもしれません。
せっかくの機会なので、その経緯についてお話ししておきましょう。
申し遅れました、わたくしSCRAP出版部チーフのおおつかと申します。
チーフといっても今のところ出版部はわたくし1人しかおりません。
わたくしの前職は出版社の編集でして、これまでSCRAPと組んで、さまざまな書籍を担当させていただきました。
ざっと紹介しますね。
『人狼村からの脱出』
脱出ゲームブック第1弾。SCRAPの初の書籍です。人狼ブームにも乗り「21世紀一番売れたゲームブック」と言っても過言ではない本になりました。
『ふたご島からの脱出』
第2弾は2冊箱入り。2人の主人公を1冊ずつ別々に動かす斬新なゲームブックです。1人で2冊同時にやるもよし、カップルなど2人でプレイするもよし。
『十人の憂鬱な容疑者』
同名のイベントをモチーフにした第3弾は、クローズドサークルのミステリー。たくさんの付録をあれやこれやして謎を解く点が支持されました。
『聡明なスパイは耳がいい』
第4弾はCD付き。収録された音を頼りに謎を解きつつプレイする新機軸な本。CDに収録された「くるり」のイメージソングも大好評でした。
『幽霊城からの脱出』
大人の謎解き絵本。ゲームブックよりも手軽にSCRAPの物語を体験できる本として作りました。謎解きが初めての人へのプレゼントにも最適です。
『片想いからの脱出』
こちらも同名のイベントをモチーフにしたゲームブック。ネットやSNSと連動し、女子と両想いになるためにひたすら探索を続けるスタイルです。
いくつかお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
どれも面白いので、まだの方は機会があればぜひ手に取ってみてください。
で、わたくしはこれらを出した出版社で、もっとたくさんのSCRAPの本を作りたいと思っていましたが、いかんせんSCRAPの本業はイベント企画制作。
面白そうなアイデアはたくさん出ても、SCRAPとしてはそんなに書籍制作にリソースを注ぐわけにはいかなかったようで、4年間で上記6冊しか出すことができず、歯がゆい思いをしておりました。
そこでわたくし今春よりSCRAPに移籍し、内部で本格的に作っていくことになったわけです。
出版社の作り方。
とはいえ。
いくらわたくしがかつて出版社に勤めていたとしても、新たに出版社を作るのはまた別の話。
ほとんど何も知らないところからのスタートでしたので、正直、不安だらけでした。
で、弊社が出版社を作るに当たり、まずどうしたかをご説明しましょう。
ちょっと長くなりますがお付き合いを。
「出版社を作る」ことだけは決めました。出版社名も決めました。
ただし、一から構築しようとしているので、多々ハードルがあることは想像に難くありません。
出版業界ならではの特殊なルールや慣習もあるはずです。
そこで、まずは書店に行って本を買ってきました。
ここ数年、「ひとり出版社」が話題になっているのをご存じでしょうか?
出版業界は不況と言われて久しいですが、そんな中でも個人ベースで出版社を立ち上げ、一冊一冊を丁寧に作り、大事に売っていく人たちが現れ始めています。そんな人たちの話をまとめて聞くために、手っ取り早いのはまず「本」です。
本って便利ですね!
買ってきた本はこちら。
『“ひとり出版社”という働きかた』西山雅子著(河出書房新社)
『あしたから出版社』島田潤一郎著(晶文社)
『日本でいちばん小さな出版社』佃由美子著(昌文社)
むさぼるように読んでみると、高い志を持って働いている人たちの話にとても感銘を受けます。
不況の中で快適に過ごすための「小商い」というキーワードにも通じる、とても楽しい未来を夢想させてくれるんですね。
何はともあれまずは情熱が必要だということが分かりました。
情熱はあります(きっぱり)。
反面、どの本も出版社を作るための具体的なノウハウは少ないです。
出す本によって、または規模によって、それぞれ事情が異なるからでしょう。
ただ、実際に本格的に出版社を作るのは難しそうだというのはよく分かりました。
特に困難さを感じたのは「取次」問題。
全国の書店に配本するためには、「取次」という本専門の問屋さんを経由しなければならないのですが、まずその取次に認められるまでが大変ということなのです。
そこで考え方を変えました。
当面、SCRAP出版は取次を通さず、直販、通販、Amazon、書店との直取引だけで販売していきます。
それほど大部数の本を作るわけでもないですし(もちろん目指そうとしてはいますが)、本ではありませんが弊社の「謎箱」や「パズバコ」だって、取次や問屋を通して販売しているわけではありません。
また最近は、書店と直接取引する出版社も多いらしいのです。
というわけで、SCRAP出版は「小商い」から始めることにしました。
ひとまず読者が見渡せる範囲で商いができれば、と。
とはいっても、将来的に取次にお世話になる可能性もありますので、全商品に「ISBNコード」と「JANコード」を付けようと思いました。
商業出版している本には必ずついているあのバーコードですね。
先ほどの本に書いてあったのですが、そのためには日本図書コード管理センターというところで、出版者登録を行わなければいけません。
なので最初に行ったのは、その登録です。
出版者名は「SCRAP出版」。登録料は税込み21,600円。
書籍JANコード登録の申請料は税込み10,800円です。
これで出版社ができました!(カンタン!)
ラインナップを発表します!!
まあ細かい話はどうでもいいですね。長々と自己紹介すいません。
では肝心な話。SCRAP出版がどんな本をリリースするか、予定をご紹介しましょう。
第1弾 『リアル脱出ゲームpresents 究極の謎本』
(発売中)
SCRAP少年探偵団(ファンクラブ)のためだけに作られた「団員謎」2015年度までの過去問13問を再構成した問題集。
さらに、新作の超難解謎も収録。
大変ご好評をいただいており、たちまち重版!ありがとうございます!
第2弾 ゲームブック『少女と箱と謎の古代遺跡(仮)』
(2016年9月発売予定)
上で紹介した「脱出ゲームブック」と同じスタッフで贈る新シリーズ。これまで以上に濃厚なストーリーと謎解きが楽しめるものにします。あっと驚く付録をご用意する予定。
第3弾 アンサンブルブック『三人の憂鬱な容疑者(仮)』
(2016年10月発売予定)
3人で遊ぶ新機軸のゲームブック。今のところ言えるのはこれだけです!(←まだ決まってないだけ)
詳細が決まり次第、このサイトや、SCRAP出版公式サイト、ツイッターなどでお知らせしますね。
このあともいろんな書籍企画が目白押しです。
ゲームブックも続けていきたいですし、イベントと連動したもの、Webと連動したものなど、あれやこれやと謎にまつわる本を企画しています。
なるべくコンスタントに出していくつもりですので、どうぞご期待ください。
とはいえ、作ったばかりの出版社です。
「こんな本を作ってほしい」「こんな企画はどう?」など、ご意見・ご要望があればどしどしお寄せください。
また、「俺に本を書かせろ、作らせろ」という方もお気軽にご連絡を。
そして「うちにSCRAP出版の本を置いて売りたい」という書店やショップの方、お問い合わせを首を長〜くしてお待ちしております。
すべての宛先は、shuppan[at]scrapmagazine.comまで。
※[at]を@に変えて送ってください。
できたてほやほやのSCRAP出版、ぜひ応援よろしくお願いします。
ではまたー!