【連載コラム #2】リアル脱出ゲームブックで遊ぼう!『ルネと秘宝をめぐる旅』編
SCRAPが作ったゲームブックの魅力と各タイトルの見どころ&制作秘話を、作者自身が語ります!
公開日:2020/04/17
こんにちは、SCRAP出版です。
SCRAP出版から発行している“リアル脱出ゲームブック”について、作者である鹿野康二さん自身が紹介するコラムの第2弾。
今回はvol.2『ルネと秘宝をめぐる旅 ─ずっとこの旅が続けばいいのにと少女は思った─』です。
これを機に、ゲームブックの黄金期が再びやってくればいいのに……とイマジン(夢想)してます。
では鹿野さん、どうぞーーー!
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リアル脱出ゲームブックvol.1『ルネと不思議な箱』はその後、ルネが登場する『沈みゆく豪華客船からの脱出』というホール型公演に発展しました。Vol.2『ルネと秘宝をめぐる旅』はルネがその豪華客船から何とか脱出した後のお話です。
その後のルネのストーリー
ルネは打ち上げられた浜辺で、老漁師デズモンドと出会い、彼の家に居候することになります。
デズモンドはルネに「家族と思って過ごしていい」と言いますが、一家は多額の借金を抱えていて、週末には家を立ち退かなくてはいけません。
家族は借金返済のために、ワラにもすがる思いで、とある町に隠された財宝を探しにいきます。もちろんルネも巻き込んで!
自分で言うのもなんですが、この設定は僕の大好きな映画『グーニーズ』や『リトル・ミス・サンシャイン』によく似ていますね(笑)。どちらか一方でも好きな方なら、このゲームブックの雰囲気を気に入ってもらえるかもしれません。
この町に隠された財宝を探します
■悩みを抱えてバラバラな家族
ルネが居候するマッケンジー一家は、祖父、父、母、長男、長女、次女の6人家族ですが、全員が何らかの悩みや問題を抱えており、その関係はギクシャクしています。
祖父は秘密を抱えたまま他界した妻のことを長年気に病んでいますし、父親は親友にだまされて借金を負い人間不信に。母親は新興宗教にはまって宇宙人の人形を肌身離さず持っています。長男は皮肉屋で家族のことに無関心。
普段は無邪気で明るい末娘も胸の内に秘めたものがあり、長女は家族の今後を誰よりも案じています。
ルネが居候するマッケンジー一家の面々
そんな家族との宝探しの旅は、財宝を隠した男の哀しい物語や、奇妙奇天烈なロボットとの出会いを通して、思いも寄らない真相へと展開していきます。
宝が見つかったとき。この旅が終わるとき。家族に、そしてこれまでずっと天涯孤独の身だったルネに、小さな変化が訪れます。
ルネの成長をシステムに落とし込んだスキルカード
ずっと一人で生きてきたルネが突然、家族の中に放り込まれて成長していく様子をゲームシステムに落とし込めないか、と考えて作ったのが今作で導入されたスキルカードシステムです。
新システム「スキルカード」
※ゲームブックの基本システム(選択肢を選んで物語を進める)については前回の『ルネと不思議な箱』紹介コラムの「そもそもゲームブックって?」をお読みください。
ルネは家族と交流することでスキルを覚えていきます。そのスキルをさまざまな場所で臨機応変に使うことで、物語を進めていきます。
例えば、海辺のパラグラフで「向こうに島があり宝箱が見える」という描写があっても、最初ルネは泳げないので島へ渡ることはできません。ですが、「およぐ」というスキルを習得すると島へ渡ることができるようになるのです。
個性豊かな家族たちから教わることができるスキルは、汎用性のありそうなものから、思わず「これ役にたつの?」と首を傾げたくなるものまでさまざま。適当ではない場所にスキルを使うとルネがおかしな行動を取ったりもします。
■段階的な謎
リアル脱出ゲームではよく「段階的な謎」(という言い方が正しいかわかりませんが)が出題されますよね。例えば、いくつかのパズルの答えをひとつの用紙に集約し、その答えを使って出てきた指示文でさらに謎を解く、というような。パズルのルールが変わって解き直すと違う答えが出るという凝ったものもあって、謎やパズルがほとんど作れない僕は魔法を見せられているような気持ちになります。
ゲームブックではすぐにパラグラフジャンプしてしまうのでパズルを手元に残しておくことができず、なかなかこういう「段階的な謎」を実装するのは難しいのです。が、「ルネと秘宝をめぐる旅」では、パズルの問題文は本に載せ、解答は付録の別紙に記入するという一工夫でこの構造を再現しています。ですので、全体を通して深みのある謎が楽しめると思います。
パズルの答えは付録の用紙にまとめます
■前回のコラムで出題した謎の答え
前回の『ルネと不思議な箱』紹介コラムの最後に、ちょっとした謎を出しました。「町の名前『エステルダ』は過去に関する言葉に由来があるが、その言葉は? ヒントはY」というものです。
前回のコラムにあったマップの画像に注目すると、右の方に「Map of Esterda」と書かれているのが確認できると思います。
エステルダは英語でEsterdaとつづります。
この単語の頭とお尻に「Y」をつけると? Y-Esterda-Y……ということで正解は「Yesterday」でした。
ところで、「Yesterday」といえばビートルズの同名曲が有名です。
そこで問題(今回は謎ではなくただのクイズです)。
『ルネと秘宝をめぐる旅』では人物名や地名などにビートルズに関係するネタが多数出てくるのですが、その数はどれくらいでしょう?
①1〜30 ②31〜50 ③51以上
正解は……次回までに数えてリストにして発表します(笑)!
みなさんはビートルズをBGMに、ぜひ『ルネと秘宝をめぐる旅』をお楽しみください。
(文・鹿野康二)
『ルネと秘宝をめぐる旅』特設サイトはこちら
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