皆様、こんにちは。
フリーライターの原 常樹(はら つねき)と申します。
突然ですが、みなさんはIDOLiSH7というアイドルグループをご存じでしょうか?
そう、彼らは老若男女問わずに多くのファンを魅了している男性7人組のアイドルグループ。2022年の活躍を振り返ってみても、さいたまスーパーアリーナで開催されたライブ「IDOLiSH7 LIVE BEYOND “Op.7”」が満員御礼、さらには日本全国の映画館、そして海外の映画館でもライブビューイングイベントやライブストリーミング配信が実施され多くの人がそのステージを楽しみました。アルバム『Opus』に加えシングル「マロウブルー」「WONDER LiGHT」、そして配信限定の楽曲「HELLO CALLiNG」をリリースと精力的に活動を行っています。彼らが奮闘し、活躍する姿は、スマートフォン向けアプリゲーム『アイドリッシュセブン』(以下:『アイナナ』)や、放映中のTVアニメシリーズ『アイドリッシュセブン Third BEAT!』でもご確認いただけます。
僕がIDOLiSH7を知ったのはかれこれ6年前。フリーライターのお仕事を通じて彼らのことを知った(情報サイト『ガルスタオンライン』で、男性目線から『アイナナ』の魅力を紹介する連載記事を執筆することになった)のですが、気がつくとお仕事だということを忘れるぐらい、その魅力にどっぷりと浸かっていました。
──では、IDOLiSH7というアイドルグループのどんな部分に自分はハマったのか?
それは“彼らの人間性に魅了されたから”というのが一番でしょう。
7人がどのようにしてアイドルとして輝きを放つようになったのかは、アプリゲーム『アイナナ』などでも詳細に描かれていますが、これがジェットコースター顔負けの激しいストーリー。あらゆる困難に強い精神力と絆で向かっていく、彼らの姿を見れば自然と背中を押したくなってしまうものなんです。
また、『アイナナ』で紡がれている物語は、サクセスストーリーが根幹にはあるものの、ポジティブな思考のみで語られるものでもありません。彼らの目を通して、アイドルというコンテンツ全体が構造的に抱える課題にもスポットライトが当たります。たとえば、ファンの励ましで勇気づけられる場面と並列的に、推しに対する想いが肥大化して迷惑をかけるファンの姿が描かれたり、グループ内の人気格差に葛藤するアイドルが出てきたり。終始描かれているのは“お仕事モノ”としても見ごたえのある骨太な群像劇。もしご存じないという方は、ぜひともアイドルたちの辿ってきた軌跡を一度追いかけてほしい!
……と、いきなり熱弁をふるってしまいましたが、何を言いたいかというと、IDOLiSH7は多くのドラマを抱えたアイドルグループだということ。そして、彼らがSCRAPと手を組んでリアル脱出ゲームの制作にチャレンジしたということ!
その名もズバリ──リアル脱出ゲーム『愛七町破壊計画からの脱出』。
12月1日(木)から公演がスタートしました。
こちらの記事では先行レポートという形で、リアル脱出ゲーム『愛七町破壊計画からの脱出』の概要をお届けいたします。
脱出ゲームに興味はあるけれどよくわからないという方や、イベントの雰囲気を知りたいという方はぜひとも参考にしてみてください。なお、本レポートには重大なネタバレ等はございません。
本公演の会場である東京ミステリーサーカスは新宿、歌舞伎町の一角にあります。
大型ビジョンを使ったり、駅のプロムナードを使った広報展開があったりと『アイナナ』にとって何かと縁の深い“新宿”での公演というのは感じ入るものがありますよね。
もしかするとこの記事をご覧になっている方の中には『リアル脱出ゲーム』という単語がよくわからないという方もいらっしゃるかもしれませんが、そういった方はまず以下のリンクを参考にしてみてください。
『リアル脱出ゲーム』は“ロールプレイと謎解きをいっしょに楽しめる大人の頭脳スポーツ”として筆者の周りでも大人気! これまで筆者も多くの友人や知人を誘って参加してきましたが、「頭を使うのは苦手だから~」と断られたことがあります。しかし、実際のところ、そんなに気負う必要はありません。
公演で出題される謎は“倒さなければならない障害”というよりも“乗り越えられたときに己の成長を実感できるスパーリング相手”のようなもの。たとえ解けなくても別に会場に一生閉じ込められるわけでもないし、うまく解けたらメッチャ楽しい……そんな気楽な認識でチャレンジして問題ないんです!。
また、グループチケットを使うことで友人たちと同じチーム(最大4人)を組めるのもうれしいポイント。逆に友だちを集められないという場合も、会場まで行けばスタッフが即席でチームを組んでくれるので心配無用です。スリリングな体験を共有することで“初めまして”の方とも交流を深めやすいですし、『アイナナ』という共通のテーマがある本公演ではファン同士で会話が弾むかもしれません。
そう、実はリアル脱出ゲームはコミュニケーションツールとしても優秀! 吊り橋効果のようなものもあるのか(?)筆者の周りには脱出ゲームで知り合ったというカップルもいるぐらいです。
筆者は今回の公演では、友人のイラストレーターと男性ふたりでチームを組むことになりました。
ちなみに友人は『アイナナ』のことをまったく知りません。先ほど、『アイナナ』という共通のテーマがある脱出ゲームだからファン同士で交流を深めやすいという話をしましたが、参加者が全員『アイナナ』に詳しいというわけでもないんですよね……。そして、逆に言えば、今回の脱出ゲームは『アイナナ』を知らない人に布教するチャンスでもあるのだと!
これぞ好機とばかりにポスターを見せてアピールをしてみたところ、友人は「なんだかこの絶妙な表情がたまらない」とナギ(上段右)に興味を持っていました。……うん、素晴らしい。つかみはOKっぽかったので、いずれ機を見て、この“気品あふれるイケメンオタク”の魅力をじっくり語って聞かせようかと思います。
公演開始時間も迫ってきてドキドキの筆者。
年に数回ペースではありますが『リアル脱出ゲーム』には参加していますし、脱出にも何度も成功しています。ほかにメンバーのいないふたりだけのチームとはいえ、失敗するつもりはありません。経験者の力を見せてやりますよ!
──そんなこんなで公演スタート。
『愛七町破壊計画からの脱出』の所要時間は120分で、制限時間が60分。これがどういうことかというと、まずプレイヤーが謎解きと向き合っている時間は60分のみ。ただ、謎解きに至るまでの導入ともいえるオープニングや、謎の解説も含めたエンディングなどに残りの60分が割り振られているという計算になるわけです。
能動的に謎を解いていくパートもあれば、IDOLiSH7のメンバーたちが形作る“愛七町を舞台にした物語”をじっくり堪能できるパートもあるというのはファンとしてもうれしいポイントですよね! 公演で描かれる物語は、アプリでもおなじみのドラマ『アイナナ警察』の前日譚。アプリ内のラビチャで予習しておくと、より世界観に没入できると思います。
ネタバレになってしまうので詳細は伏せますが、オープニングから“登場人物たちの醸し出す和やかな空気”が全開で微笑ましくなってしまいます。何よりプレイヤー自身が愛七署の新人警官としてアイドルたちと同じ目線で捜査できるというのはワクワクしますし、ドラマはなんとフルボイス。この供給量はすごい……!
新人警官であるプレイヤーが挑むのは、愛七町で起きた不可思議な事件の数々。捜査の過程では、IDOLiSH7のメンバーが扮する“愛七町の住人たち”とタブレット型の端末を使って、やり取りをするシーンも出てきます。こちらの音声を聴くためには3.5mm有線プラグイヤホンを使うので「持ってるよ~!」という方はぜひ自前のイヤホンを持参してみてください(未所持の方は借りることも可能です)。
そして、肝心の謎解きもボリューミー。内容も非常に凝っていて、共同制作者であるSCRAPさんのIDOLiSH7に対する深い愛情とリスペクトを感じました。
というわけで、あれよあれよという間に60分が経過。
そして、結果発表。
我々の結果はというと──
脱出失敗!
ダメでしたッ!
……えっ、経験者の力はどこに行ったのかって!? いや、ちょっと……なんのことだかわからないですね……。
まぁ、撃沈したとはいえ、最後の謎までは辿りつけましたし、リアル脱出ゲームに慣れている方が多そうだったこの先行体験会に参加したチームの多くが脱出成功していた点から見ても、難易度面での敷居はそこまで高くなかったのかもしれません。(失敗した身ではありますが)むしろ、謎解き初心者にピッタリな難易度だと筆者も感じました。
だとすると、我々は何がよくなかったのか?
シンプルに頭の回転が鈍かったというのはさておき。手が足りないふたりチームであるにも関わらず、見栄を張ってヒントキットを使わなかったことがひとつめの敗因かなと……。ヒントキットはその名のとおり、謎のヒントが掲載されているアイテム。使用は任意になりますが、謎解きのペースが遅れているときには使用が推奨されています。「男子タルモノ、施しは受けぬ!」と意地を張ると我々のようなことになりかねないので(同卓のメンバーに許可を取った上で)使ってみてください。
あとは積極的に“アイナナに関する隠し要素”を探しに行ってしまったのも明らかな敗因。今回の『愛七町破壊計画からの脱出』では、直接的に謎解きで正解を導き出す過程とは別に、いくつものアイナナと紐づいた要素が隠されているので、これを探すのも楽しみのひとつ。捜査が疎かになってしまうリスクはありますが、うまく見つかると「えっ、これってこういうことじゃない!?」っていう新鮮な驚きがあって楽しくなっちゃうからやめられないんですよね……。
実をいうと、今回の公演は終了後に隠し要素を網羅した“隠し要素シート”がもらえるという親切設計。どんなギミックが仕掛けられていたのかはあとからもチェックできるので、リピート参加をしてひとつひとつチェックしていったり、リピート参加が終わるまでシートは見ずに自力で探してみたり……さまざまな楽しみ方ができちゃいます。とにもかくにも、初回参加時は本筋の謎解きに集中するのがベストなわけです。
自分たちの謎解きには悔しさが残るものの、今回の公演にはIDOLiSH7の魅力がこれでもかというほど詰まっていましたし、ひとりのファンとしては大変満足しております。そして、脱出失敗後に参加者同士でおこなう反省会も『リアル脱出ゲーム』の醍醐味。この日も会場をあとにしてから「ここをこうすればよかった!」という話題で友人としっかり盛り上がりました。
そうそう! そこに関しては一点。公演後に(とりわけ、東京ミステリーサーカスの近辺で)謎解きに関するトークは避けるというのが『リアル脱出ゲーム』のお約束となっています。万一、これから参加するという方の耳に入ってしまうと、いろいろ残念な感じになってしまうので……未経験の方はどうかこちらも忘れないようにしてください。もちろん、しゃべりたくなる気持ちは非常によくわかります! でも、そこはグッとこらえて有り余ったパッションはそのまま持ち帰るか、フォトスポットでの記念撮影などに投入してみるのがオススメです。
フォトスポットはミニマムなサイズで、アクリルスタンドやアクリルキーホルダー、ぬいぐるみなどを持参して配置するとピッタリ!
上記がおじさん(筆者)の撮影した写真ですが、ピースしているあたり、すっかりテンションが上がっちゃっていますね……。
バックにある音楽記号などのアイコンはマグネットになっているので、お気に入りの組み合わせを模索してデコレーションするのも楽しそうです。
東京公演では4Fの謎解き会場内にフォトスポットが設けられているほか、5Fにも同じものが用意されているとのこと。後者は公演に参加しなくても利用できるそうなので、混雑の状況を見ながら5Fに向かうか、もしくは別日に足を運ぶとスムーズに写真を撮れるかもしれません。
そして、5Fには注目スポットがもうひとつ。
『Stand bar 777』の一角に見覚えのあるサインが展示されていました!
これだけでもファンとしては拝んでおきたいサインですが、『Stand bar 777』自体もおもしろそうなスポットなんですよね。開催中のゲーム・イベントに参加すると注文できるシークレットメニューがあったり、店内で謎解きイベントも開催されているとのことなので、ぜひチェックしてみてください。
さて、『愛七町破壊計画からの脱出』の注目ポイントはまだまだあります。そのひとつが東京ミステリーサーカス1Fで販売されている本公演のオリジナルグッズ。
グッズのラインナップはこちら。
鍵モチーフキーホルダー(各1,500円/税込)もオシャレだし、普段使いしやすいクリップボード(各1,800円/税込)やミニトート(各1,500円/税込)も素敵……。どのグッズもファン必携のアイテムという感じではありますが、あえてオススメを挙げるなら、ここはやはり公演パンフレット(2,800円/税込)でしょう!
公演パンフレットには、『愛七町破壊計画からの脱出』で出題された謎の解説はもちろん、IDOLiSH7のメンバーたちからのここだけのメッセージや、イベント制作の裏側などについても掲載されています。もちろん、ネタバレがたっぷり詰まっているので、公演終了後に手に取ってほしい一冊です。イベントが楽しかったな、と思った方なら、絶対に嬉しい内容がぎっしり32ページにぎゅっと凝縮されています。
そして、忘れてはならないオリジナルフードメニュー。
東京公演では1Fの『HIMITSU COFFEE』にて販売されています。なお、こちらは19時30分に閉店となってしまうので、開始時刻が遅い公演の参加者は、公演終了後には注文することができません。ご注意を! 参加前に注文された方は、レシートを取っておくと、後ほどスタンプラリーのスタンプを押してもらえますよ。
フードのラインナップはこちら。
まずは『喫茶ピタゴラスのクッキー』(700円/税込)。
愛七町の人気店として知られる“喫茶ピタゴラス”より、委託販売をされたのがこちらのメニュー。しっかりパッケージに封入されていますが、こちらはグッズではなく、東京ミステリーサーカス1Fにある『HIMITSU COFFEE』で販売されています。
どこか懐かしくもやさしい味わいで、筆者は自宅に持ち帰ってコーヒーといっしょに味わいました(まさに相性ピッタリでした!)。3枚入りのパッケージングというのも、なんだかトリオ感があって素晴らしい。
『愛七町破壊計画からの脱出パフェ』(800円/税込)は全2種類を販売。
どちらもストロベリーソースとヨーグルトクリームがベースになっており、『一織、三月、環、陸ver.』はマンゴーが、『大和、壮五、ナギver.』はミックスベリーがそれぞれあしらわれています。ドラマの登場人物たちがデザインされたピックや、愛七町の建物をかたどったウエハースもオシャレ。
パフェと聴くと甘そうなイメージを持たれる方も多いかと思いますが、ヨーグルトクリームのさわやかな酸味が効いているので、さくさくスプーンが進みます。ボリューム的にもちょうどいい、食べやすいスイーツだと感じました。
『ココア・アート~IDOLiSH7~』(550円/税込)は、IDOLiSH7のメンバーのプリントをトッピング!(全7種類) どのメンバーにするかは自由に選ぶことができます。
寒い冬にピッタリのココアですが、糖分たっぷりで謎解きで疲労した頭を癒すのにもってこい。アイドルの美しいビジュアルを崩すのは少しもったいない気もしますが、ひと口飲めばホッとする甘みに癒されます。
ちなみに『喫茶ピタゴラスのクッキー』は東京、名古屋、大阪公演ですべて購入可能ですが、『愛七町破壊計画からの脱出パフェ』と『ココア・アート~IDOLiSH7~』は東京公演でしか購入することができません。なお、東京と名古屋公演では、リアル脱出ゲーム『愛七町破壊計画からの脱出』に参加しなくてもメニューの注文が可能とのことなので、ショッピング感覚で会場に足を運んでみるのも楽しいと思います(気が向いたら謎解きにもぜひ挑戦を!)。
謎解きはもちろんグッズにフードに……と、楽しみどころが満載のリアル脱出ゲーム『愛七町破壊計画からの脱出』。筆者もさっそくリピート公演への参加予定を立て始めました!
重ね重ねになりますが、『リアル脱出ゲーム』は軽い気持ちで楽しめるエンターテインメント。『アイナナ』に惚れ込んでいるという人は“布教の場”としても、知らないという方も“作品の入り口”として楽しめると思います。ほかでは得がたい虹色の体験が詰まった公演ですので、ぜひとも会場に足を運んでみて味わってみてください!