リアル脱出ゲーム×魔法少女まどか☆マギカ『ワルプルギスの夜からの脱出』体験レポート
リアル脱出ゲーム×魔法少女まどか☆マギカ『ワルプルギスの夜からの脱出』体験レポート
公開日:2021/02/15
Twitterでフォロワー19万人を超える人気編集者たられば(@tarareba722)さんによる、現在開催中の公演「リアル脱出ゲーム×魔法少女まどか☆マギカ『ワルプルギスの夜からの脱出』」の体験レポートを公開!
『まどか☆マギカ』や『リアル脱出ゲーム』への愛がたっぷり詰まった体験レポート。ぜひご覧ください!
皆さんこんにちは、編集者のたらればと申します。Twitterで編集業や古典文学やゲームや犬のことを呟いております。
わたくし、約12年前にリアル脱出ゲームの企画、制作、運営を手掛けるSCRAPさんが東京へ進出した際の公演、世田谷のものづくり学校で「図工室からの脱出」に参加して以来のリアル脱出ゲームファンでして(また宮古島脱出やってください!)、加えて『魔法少女まどか☆マギカ』の大ファンでもあります(アニメ12話+劇場版Blu-ray所有。10周年おめでとうございます!!)。
そんな、好きなものと好きなものが合わさった唐揚げカレーみたいなイベントが誕生するなんて! 夢見心地で公演開始を待っていたら、なんとSCRAPさんから「体験レポートを書いてみませんか」というお誘いが!!
まじか。ついにここまで来たか!!!
お誘いのDMを確認したのが入浴中だったので、一瞬のぼせた夢かと思ったのですが、だとしたら醒めないうちに早速「合点承知!!」と返信。かくしてわたくし、『ワルプルギスの夜からの脱出』へと参加、こうして感想レポートを執筆することになりました!! うははーー!!
- オープニングのBGMですでに興奮
ワルプルギスの夜からの脱出』の大きな看板が目印
12月のある夜、そぼ降る雨のなか「リアル脱出ゲーム原宿店」の階段を降りてゆき、扉を開けていざ受付。
「あの…その…わたくしTwitterで犬のアイコンの…ええと、ご招待をいただき…」
「あ、たらればさんですね、ようこそ!」
という身もふたもないやり取りを交わして、いざ「脱出」へ。
一度でもリアル脱出ゲームを体験した方ならばご承知のとおり、ゲーム内容の多くに「謎」が複雑に絡み合っており、そこにはいたるところに「ネタバレ」が潜んでおります。
そのため(一生に一度の初体験を大事にしてもらいたいため)、ここでは「謎」の内容にはいっさい触れずに、本公演を紹介してゆきます。
ちなみにわたくし脱出失敗しました。くっ…!! もう一回やりたい…。
さて。
まず、わたくしこれまで多くのコラボ系リアル脱出ゲームを体験してきましたが(『ONE PIECE』『名探偵コナン』『進撃の巨人』『宇宙兄弟』『Fate/Grand Order』、つい最近だと『ちはやふる』 など)、そのなかでも「作品との相性」という点で、今回の『魔法少女まどか☆マギカ』とのコラボは白眉でした。
もともとリアル脱出ゲームは、閉鎖された空間と時間のなかでいきなり「あなたはいま〇〇にいる××です。あと▲分で問題に取り組み、解決してください」と、作品空間(ゲーム内)に没入させられるゲーム。ざっくり言えば「物語に没入しやすい人」がこのゲームに集まりやすいわけです。
この仕組みそのものが『まどか☆マギカ』という作品およびシナリオと、大変相性がよいんですね。
『まどか☆マギカ』は梶浦由記氏が手掛けた特徴的な音楽(BGMや劇伴曲)、劇団イヌカレーが描く独特なビジュアルの「魔女」、それに蒼樹うめ先生のキュートな「キャラクター」が組み合わさった非日常の世界観が、絶妙な「不安定感」を作り出していました。これが密室に閉じ込められるリアル脱出ゲームと相性抜群。
特にBGMがヤバかったです。合いすぎて危険。スタート前の着席時から会場で流れる梶浦サウンドがファンを静かな興奮へいざない、脱出奮闘中にはいい具合に流れる『まどか☆マギカ』BGMで、意識が「謎解き」から『魔法少女まどか☆マギカ』の世界を行ったり来たり。
不安定な世界と切迫感、仲間への義務感や焦燥感が、あの「ワルプルギスの夜」を迎え撃つ『まどか☆マギカ』本編の視聴体験とシンクロするのでした。
そもそもの話として、『まどか☆マギカ』本編も「仲間」との協力を中心としたチーム戦であること、ある種の「謎」(たとえば「魔女の正体」や「キュゥべえの目的」など)を含んだまま進んでいくことなどなど、根っこのところでリアル脱出ゲームと共通項が多いわけですね。
そのうえ今回のリアル脱出ゲームでは『まどか☆マギカ』本編の名セリフが各所に散りばめられつつ、ただでさえ豪華な声優陣のオリジナルボイスまで聴ける始末。わー、こ、これだけでゲーム代のモトが取れるじゃないですか! クラスのみんなには内緒だよ!!!! もう謎解かなくてもいいか!(よくない)
プレイヤーはまどかのクラスメイトという設定。「クラスのみんなには内緒だよ」のセリフにより感慨が湧きます。
- ミサトさんのキャラ設定と演出が最高!!
こうしたさまざまな要素が『まどか☆マギカ』本編をよく知っているファンほど深く楽しめるリアル脱出ゲームへと昇華されています(『まどか☆マギカ』をよく知らなくても楽しめるのは、これまでのSCRAP主催のコラボ作品をプレイした方ならご存じのはず)。
一点、ネタバレにならない範囲で今回の「ワルプルギスの夜からの脱出」の中身に触れると、本公演のために用意された「ミサト」というキャラクターが大変よかったことを付記しておきます。劇中における目的も、位置づけも、振る舞いも、キャラクター性も、それから演者さんの熱演具合も抜群でした。これから脱出に挑む方は、ぜひ演者さんの熱いセリフ回しに感動していただきたい。
彼女もプレイヤーのクラスメイトとして常に親しく接してくれます。
もし自分にこういう同級生がいたら、もっと違った人生があったかもしれないな…と、魔女と戦ったことがないはずの自分でも謎の既視感を味わえるところも、『魔法少女まどか☆マギカ』という作品を見終えたあとの感覚と似ていました。
最後に、今回のレポートを書くにあたり、リアル脱出ゲームと『魔法少女まどか☆マギカ』の共通点を考えていて、(上記のようなポイントのほかに)もっと根本的なところで両者は繋がっているんじゃないか…という気がしていました。
それは「因果」と「論理」への意思…というようなものです。
この世界の特別な出来事には「原因」がある。それはある種の作業(たとえば知恵や努力を重ねた工夫や発見や犠牲)によって、成長し、回避したり解決したり克服することができる。
そういう(自分の力で果たすことができる)因果があり、それは論理で説明できる。そう信じている。すくなくとも誰かに「できる」と説明される。
そしてなにより、わたしたちを含む誰もが、そうしたルールを知らされないまま「ゲーム」に参加し、途中で解決法を学びとり、成功したか失敗したかに関わらず「成したこと」の結果を引き受けることになる。
それこそがリアル脱出ゲームや『魔法少女まどか☆マギカ』という作品、そしてほかならぬわたしたちの「人生」に共通する醍醐味なのではないか、と思うのです。
『ワルプルギスの夜からの脱出』、とても興奮するすばらしい体験でした。『まどか☆マギカ』を深く愛する皆さまはもちろん、ライトなファンも、あまり知らない方も、存分に楽しめる内容だと思います。
『ワルプルギスの夜からの脱出』は原宿で2022年2月6日(日)まで、名古屋で2月13日(日)まで開催するほか、大阪、福岡、札幌、横浜で順次開催することのと。
この冬、非日常空間で因果と論理の共演を楽しみたい方に、ぜひ。
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あなたの選択が、魔法少女の運命を左右する。
リアル脱出ゲーム×魔法少女まどか☆マギカ
「ワルプルギスの夜からの脱出」
▼イベント特設サイト
https://realdgame.jp/madoka-magica/