【寄稿】この感覚…懐かしい!!『ときどき監視員が見回りにくる部屋からの脱出』は青春時代のあのドキドキに似ている!?
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公開日:2018/07/19
下北沢の『アジトオブスクラップ下北沢ナゾビル』では、楽しそうにワクワク顔をしている男女が集まっていた。
そう! 彼らは『ときどき監視員が見回りにくる部屋からの脱出』へ参加するために集合したのであった。
今回は10人で1チームのリアル脱出ゲーム。
参加者は友人から、初対面の方まで、様々な年齢・職業の方が集まった。
「脱出ゲームは初めてですか?」
など、定番の質問をお互いにして、スタートまでの時間、運命共同体となるメンバーと話を弾ませていた。
ちなみに筆者は、ホール型公演と呼ばれるリアル脱出ゲームに参加した事は数回あったが、
今回のようなルーム型公演は初めて!
「では、15時回の方、一列に並んで順番に、中に入ってください!」
ニコニコしたスタッフのお兄さんが声をかけてくれた。
それぞれ顔を見合って、「よしっ!」と言わんばかりに大きくうなずいた。
スタッフのお兄さんに連れられて部屋に入ると、
な、なんと部屋が暗い!
一列でゆっくりと部屋の中心部まで入った。
目が慣れてきてしばらくすると椅子や段ボール、カラフルな壁などが、うっすらと姿を現した。
この暗闇の中で、今回のゲームの概要説明をお兄さんから受ける。
「とにかく冷静になって、監視員の動きをよく見るように!」
はい、その通りにします!
でも今から一体何が行われるのか、ていうよりなぜ暗闇なの!?
監視員って誰!?
謎は深まるばかり。
一旦お兄さんからの説明が終わり、ゲーム開始!
暗闇の中でひとつでもこの中から多くの情報を得ようと思ってきょろきょろしていると、突然ドアから『ドンドンドン!』とノック音が鳴り響く!
誰かがこの部屋に入ってくるようだ……
てか、その叩き方、めっちゃ怒ってるやん!
そう思うと同時にヒヤリと汗が出る。
バッと勢いよくドアが開き、ツカツカと早足で一人の男性が私たちの前に現れた!
あ! 監視員だ!
「今からお前たちを柵の中に閉じ込める!! 早く一列になって入るんだ!」
急がされるように柵の中に入った私たち10人。
柵にはガチッと鍵がかかってしまった!
えー、閉じ込められちゃった!!
どうしたらいいのー!!
とパニックになっていると、
監視員が一言「俺はここにときどき見回りにくる! それまでこの部屋から脱出しようと思うなよ!!」
わあ!! タイトルにもあったけど、本当にときどき見回りに来るんだ!
だけど、ときどきしか来ないということは、
それまで手がかりを掴んで脱出するチャンスがあるということか!!
あーでも、ときどき来るってことは、その度にどきどきするじゃん!!
“ときどき” と “どきどき” って似てるな。
このブロックの壁、なんでこんなにカラフルなんだろう、監視員の趣味かな。
なんてどうでもいいことまで浮かんできて脳内パニックになっているうちに、
あっという間に柵の中に収められた私たち10人!
「いいか、この部屋から脱出しようなんて考えるんじゃないぞ! 絶対だぞ!!」
念押しをして監視員は出て行った。
よし!
早速、約束やぶってやるぜ☆ 監視員!
まずは状況整理、今わかっていることは…
・私たちはなぜか監視員に閉じ込められてしまった
・部屋はおろか柵にも鍵がかかっている
・監視員はときどき見回りに来る
・脱出しようとしていることがバレてはいけない
・とにかく絶体絶命
まずは柵の中から脱出しなければ部屋からの脱出は不可能!
しかも部屋はまだ真っ暗!
さて、どうしたらいいんだ…!!
と思っていると、仲間のうち1人がどこからともなくアイテムを見つけ出した…
どんな方法で柵の鍵を開けたかは行ってからのお楽しみ。
ちなみに柵からは知恵を使ってすぐ脱出出来ました☆
さあ、今度はこの部屋からも脱出するんだ!
まず私は、近くにあったゴミ箱を手に取って、謎は隠されてないかチェック!
お次は、この棚だ!
と、とりあえず近くにあるものをチェック!
と、みんなで探索をしていると、怪しい音楽が部屋全体に鳴り響く……
しかし、謎解きに夢中な私たちは最初音楽に気づかず、あーでもない! こーでもない!
と騒がしい様子で話し合い。
「みんな!なんか音楽が鳴ってる!」
冷静になった私たちはようやく全員この音楽に気がついた。
どうやらこの音楽が止まると例の監視員がやってくるらしい!
ヤバイ! 早く柵の中に戻って何もしていないように過ごさなくては!!
音楽が鳴り終わり、
『ドンドンドン!』と強いノック音が部屋に響き渡ったと同時に、
監視員が部屋に戻ってきた!
柵の中で、『何もしてませんよ』と姿勢を正しくして、平然を装う私たち。
しかし、柵の外は私たちが探索したせいで物が散乱していて、家具たちが、元々置いてあった場所と全然違うところに!
『き、汚い! 絶対バレる!(笑)』
絶体絶命と思った瞬間、監視員はこう言った。
「なんだ、騒がしいな。ん!? なんで物が動いているんだ! お前らまさか何かしたのか!?」
ブンブンッと大きく首を横に振って、何もしていないアピール。
「俺は几帳面なんだ! ずれているものを直して行くぞ! ほーら、几帳面だからこうやってゆっくり直すからな」
オーマイガー!!
せっかく散策した手がかりが直されていく!
なんて几帳面なんだ、監視員!
しゃがんで家具の位置を丁寧に直す監視員の後ろ姿が、なんだか、かわいい。
物が散らかっていると、それだけ監視員が部屋の中にいる時間が増えてしまうので、
その分、脱出の手がかりを探す時間が奪われてしまう。
・・・ということは、動かした物をちゃんと元に戻しておけば、探索に使える時間が増える!
よし、次こそはちゃんとお片付けするぞ!
「いいか、お前ら! 絶対にこの部屋から脱出しようなんて考えるんじゃないぞ! 俺はまた見回りに来るからな!」
「はーい(^o^)/」
と返事をした私たちは、監視員が部屋から出た瞬間、探索再開!
さて、このゲーム。いつにも増して10人の連携が大事!
いたるところに謎が散りばめられているので、誰がどの謎を解いているのか報告し合うことが大事なのである!
というのも、問題数もさながら、解く鍵がいたるところにありすぎるので、
情報共有がめちゃくちゃ大事!
情報共有が上手に出来ていないと、
「Aの問題出来た!!」
「それ、僕がさっき解いた問題!!」
ということになりかねない。
ちなみに、私もやっちゃいました。
そうこうしているうちに、またあの音楽が……
「やばい! 監視員来るよ!」
先程の教訓を得た私たちはバタバタと自分の近くにある物を片付けて、また何事もなかったかのように柵の中へ戻る。
「なんだお前ら! 騒がしいぞ!」
怒られているのに、ちょっとだけ、さっきより片付けができた私は思わずニヤニヤしてしまった。
その時ふと思った、なんかこの感覚、懐かしい。
何かに似ている。
なんだっけ。
あ! この感じ、『修学旅行の夜』みたい!
消灯の時間が過ぎてから、部屋で友だちとコソコソおしゃべりをして、枕を投げて遊んだあの修学旅行の夜。
急に見回りに来た先生に、起きていたことがバレないように、電気を消して寝たふりをして、先生がいなくなったら、またおしゃべりして。
コソコソ楽しむあの感覚!
ときどき見回りにくるところもソックリ!
なんだか懐かしくてほっこりする。
さあ!
監視員がいなくなった瞬間にまた敏速に探索開始!
気づけばさっきよりチームワークは良くなっているし、初対面だった人ともうまくコミュニケーションをとって役割分担を果たしている!
脱出ゲームをするのが初めてと言った人も、常連組が見つけられなかったアイテムを意外なところから見つけ出したりと、みんなが『脱出』という1つの目標に関して動いているので、個々の力が発揮されている!
1人の力では決して脱出は不可能だけど、みんなで協力したら無理難題も不可能じゃない! みんなで脱出するぞ!!
リーダーシップを発揮する人、それを補佐する人、部屋をとにかく物色する人、全員に周知する人、それぞれみんな役割を果たし、監視員の目を盗み、これぞ脱出ゲームっていう感じ! 最高っ!!
解いて解いて解きまくり、最後の脱出!!!っていうところで、まさかの時間制限!
あと5秒、時間があれば脱出出来たのに!
あの時の片付けをもっとちゃんとできていたら!
そう! 脱出ゲームは1秒たりとも不要な時間はないゲーム!
1秒で笑う者もいれば1秒で泣く者もいる!
最大級に惜しい結末となってしまった。
今回は悔しすぎる!!
しかしながら、脱出出来なかったけれど、得たものはある。
それは私たちの結束。脱出はギリギリ出来なかったものの、仲間意識は強くなっていた。
最後に『アジトオブスクラップ下北沢ナゾビル』の下で次はどの脱出に挑むか話し合う私たちがいた。
ありがとう!『ときどき監視員が見回りにくる部屋からの脱出』!
几帳面な監視員は私たちに“仲間”というプレゼントをしてくれたのかもしれない。
寄稿:比嘉桃子(構成作家・番組イベント制作)
撮影:坪井信乃