ハシゴは昇降のための道具だ。

それが2階の空き部屋にあったということは何を示しているだろうか。

制御室の様子を思い出してみよう。

カーペットにあったくぼみ、天井にあった擦れた跡ははしごを使った跡だろう。

つまり犯人は2階の空き部屋からはしごを使うことで制御室の鍵を使わずに1階の制御室に入っていた。

それができたのは誰だろうか。

ハシゴとは別の内容でも推理をしよう。

犯人はサブカル研究会メンバーの中にいる。

今までの会話の中で、一人だけ嘘をついたことがある人物がいる。その人物が犯人だ。

犯人がついた嘘は「このパズルロッジに来たのは今回が初めてだ。」という内容である。

嘘である根拠はとある部屋の情報を部屋に入ったことがないのに知っていたことだ。

犯人はどの部屋のなんの情報を知っていたのだろうか。

第二章でアキラが間違った答え「コッパミジン」を入力してからから正しい答え「キシカイセイ」を導くまでのストーリーを見直してみよう。

「これでどうだ?!」

「フセイカイデス。 ヤリナオシテクダサイ」

なに? しっかりと解き明かしたはずだ… なのになぜ…… まずい！

「くっ、誰か！ 誰か助けてくれ！」

「アキラ！ しっかりしろ！ どういう状況だ！」

どうやらみんなが声を聞きつけて扉の向こうまで来てくれたらしい。

「謎を解いて、指示通りにこの天井の写真に文字を当てはめて、変なシミのところに来る文字を読んだけど違ったんだ！ やばい、このままじゃ死ぬ！」

「シミ？ よく分からないけど、関係ないんじゃないかな？ そうだなあ、たとえば……その山の稜線(りょうせん）にくる文字を読むとか?」

ヒナコの透き通る声が耳に届く。

山の稜線を読む……なるほど、そうか！

今までのストーリーでいくつか写真についての描写があった。

それぞれの部屋で飾られている写真の内容はバラバラである。

（201に野鳥、204に赤雪山、208に雪ウサギ、209に高山植物）

部屋に入ったことがなければ、その部屋になんの写真があるかは知らないはずだ。

『写真』と聞いただけで、その写真に写っているものまではわかるはずがない。

答えは「ハシゴ209制御室」だ。

答えは「204赤雪山の写真知っていた」だ。