Mystery for You 山下先輩は、 を待っている。 エンディング
「【ごうがい】っと…」
新聞検索機にキーワードを入力すると画面には〈ナゾトキウォークラリー ゲームクリア!〉の表示が、そして下の取り出し口からはクリアシートが出てきた。
先輩は2023年にナゾを作り終えており、6月に事故に遭っているのだから、2023年から時が動いていないのにも頷ける。
学校へ急いで戻り、階段を数段飛ばしで登って、息を切らしながらドアを開ける。
「先輩、全部クリアしましたよ!! ほら、これで合ってますよね?」
あなたは、手汗でくしゃくしゃになったクリアシートを先輩に見せようと掲げる。
しんと静まり返る部室。
いつも窓側の定位置にいた先輩。しかしもう、その姿はなかった。
「そうか… 僕が全部解いちゃったから… 先輩は……」
感想戦したかったなあ… もっと先輩と謎解きたかったなぁ… もっともっと…
いろんな思いが涙となってこみ上げてくる。
チャイムの音が聞こえる。
下校時刻だ。
でも帰りたくない。
もう本当に先輩と会えなくなる気がするからだ。
コンコンとノックの音がする。
「…はい。どうぞ」
あまり部室には顔を出さないと言っていた顧問の先生が、扉の前に立っていた。
「おう、もう下校時刻だぞ。さっさと支度しないか。 最近、ここの鍵が開きっぱなし、電気もつけっぱなしだと警備員さんに怒られちゃったよ……ってどうした、そんなに目を真っ赤にして… 何かあったのか?」
あなたはこれまでのいきさつをすべて話す。
「にわかには信じがたい話だが、人生そういうこともあったりするからなぁ…
世に出なかった謎を、君が解いた。それだけで山下くんは満足だったんだろう。
その思いを継いでいくのが後輩の役割ってもんだ… ほれ、今日はもう帰りなさい」
「思いを継ぐ… か…」