私は、手が震えながらも1文字ずつ打ち込んだ。
“new adventure”

そして、キーボードのエンターキーを見つめた後、目を閉じて思考をめぐらせた。

「……Aiasは、止める」

力強くエンターキーを押し込んだ。

PCのファンが大きな音を上げ、画面にはとても長い文字列のプログラムコードが高速で流れ、消えていった。

私はハリソンに報告した。
「……Aias、停止しました」
「そうか、こちらでも停止を確認した」

本部に戻り、今回の分析報告書を書きあげた。最後をこのようにまとめた。

「……以上の理由からAiasの停止作戦を実行し、成功した。
だが、本件により合衆国は、未来の可能性を持った一人の作家を失ったのかもしれない。」

ハリソンに報告書を手渡した。
「君の異動命令が出た。今までいた支局へ戻ってくれ」
「わかりました」
私はCIA本部を後にして、空港へ向かった。

地下鉄で話しかけてきた人物は、おそらくCIAの人物ではない。
しかしハリソンには、私が他のCIA支局から異動してきたと伝えられていたのだろう。
一体あの男は何者だったんだ。

ニュースでは、その後の法改正により正式にAI作家のサービス提供が停止し、関係団体のストライキも収束して、映画制作や出版業界も回復しつつあることなどが報道されていた。

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