Mystery for You 空っぽのグラス 正解
その後佐藤誠は、孫のあおいの誕生日会でマジックを披露しました。
バーテンダーのアドバイス通り、会社員だったころの経験や退職後の不安な気持ちをふまえてアレンジした自分だけのマジックの練習を毎日続けました。
今までの経験に無駄なことはなかったようです。自分のマジックを完成させた彼の最初のショーは大成功でした。
「すごい! おじいちゃんは魔法使いだ!」
あおいもあかりも間近で見るマジックに大喜びです。
「お父さんがマジックできるなんて知らなかったよ、前からやってたの?」
娘の質問に彼ははにかみながら答えました。
「実は最近始めたんだ。もっと練習するから、また見てよ」
「もちろん! 仕事人間のお父さんのことだから、退職後が心配だったんだよ。大丈夫そうだね。新しいマジック、楽しみにしてるよ!」
大人の会話を聞いていた子どもたちも喜んでいた。
「うん、楽しみ!」
「おじいちゃんまた来てね!」
翌日、バーEMPTYを再び訪れた彼はバーテンダーに昨日のことを報告しました。
「良かったです。お客様がしっかり練習したからですね」
「本当にありがとう。家族にマジックを披露して気付いた、私はマジシャンになりたい。もっといろいろなマジックを覚えて、もっと多くの人に見てほしい。この夢を今から見ること、遅すぎではない…だろうか?」
「いいえ! 最初の一歩を踏み出したお客様の可能性は広がっていますよ」
彼の言葉をさえぎるようにバーテンダーは勢いよく肯定の言葉を返します。
バーテンダーが客の彼に希望を与えたように、彼の姿勢にバーテンダー自身も勇気付けられたからです。
マジシャンとしての生活は思い通りにいくことばかりではありません。お店の経営も順調とは言い難いのでしょう。初めてマジックに触れた日をいつしか忘れていました。バーテンダーは彼のように自分にも夢を見つけた日、そして夢が叶った日があったことを思い出しました。
たとえつらいことが今後続いたとしても、大好きなマジックをずっと続けていこうと決心したのです。彼へ送ったつもりの言葉は、自分の中でも響いているようです。
「明日はマジックショップに買い物へ行こうと思うのですが、ご一緒にいかがでしょうか?おすすめのアイテムを紹介しますよ」
「えぇ、ぜひ!」
彼は手帳を取り出して明日の予定をメモしました。
もう真っ白なカレンダーではありません。
やりたいことが次々出てきて、また忙しくなりそうです。
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「空っぽのグラス」
ディレクター/謎制作:渡鳥秋
制作進行:来栖由佳
謎監修:堂野大樹
デザイン:まついみずき
校正:伊藤紘子、朴剛民
「Mystery for You」
企画/制作:SCRAP
プロデューサー:きださおり 田口正也
サービス運用:鈴木ひかる 髙波由希帆 来栖由佳
広報:遠藤紅実
パッケージデザイン:加藤咲
システム:株式会社メタップスペイメント
エグゼクティブプロデューサー:飯田仁一郎
製作総指揮:加藤隆生