七夕荘の隠しごと ストーリー
あなたは回覧表の謎を解いた。
答えは『サプライズパーティー』。
これは、ひょっとして……。
「3号さん……! おい……! 3号さん……!」
背後から忍び声がして振り向くと、40くらいの男が物陰からあなたを見ていた。
みーちゃんのお父さんだ。たしか、名前は弥彦さん。工事現場から戻ってきたばかりらしく、タンクトップもニッカボッカも泥だらけだ。
弥彦さんは口元に指を当て、「しーっ」と言いながらあなたに手招きした。
みーちゃんは、お父さんの出現には気づかず、アパートの探索を続けている。
「あんた、謎解いちまったのか。まだミカコに言ってねえだろうな? サプライズパーティーのこと」
どうやら弥彦さんは、みーちゃんの誕生日にサプライズパーティーを計画しているらしい。
それで、アパートの住民たちに謎や暗号を配り、みーちゃんにバレないように協力をお願いしていたのだ。
パーティー会場は4号室。ときおり聞こえた物音は、住民たちが掃除や飾りつけをしていた音だった。
「3号さんには当日、ミカコを4号室に誘い出してもらう役をやってもらおうと思ってさ、内緒にしてたんだ」
弥彦さんは申し訳なさそうに頭をかいた。
そしてあなたの肩をつかみ、すがるような目で見つめた。
「3号さん、お願いだ! このこと、ミカコには黙っといてくんねえかな? ワガママ言ってるのはわかってるけどさ、あいつを喜ばしてやりてえんだ! ……まぁ、ミカコが隠しごとが嫌いなのは知ってるよ。おれが情けなかったせいでな」
弥彦さんはうつむいて言った。
みーちゃんの両親が離婚したのは、弥彦さんがギャンブルにハマって仕事をしなくなったせいだ。みーちゃんや奥さんには仕事に行くと嘘をついて、よく競艇場に行っていたらしい。
いつの間にかふくれ上がった借金も、家族には秘密にしていたそうだ。
やがて何もかもバレて、奥さんは出ていった。
みーちゃんは、しっかり者のお母さんではなく、どうしようもないお父さんのそばにいることを選んだ。
弥彦さんは大いに後悔し、今はマジメに働いている。
そんなことがあって、みーちゃんは、嘘や隠しごとが嫌いになったのだ。
「ちょっと!」
刺すような声に振り向くと、険しい表情をしたみーちゃんが立っていた。
「2人でなにこそこそやってんの!!」
「こ、子供には関係ねえ話だ!」
弥彦さんの怒鳴り声など意に介さず、みーちゃんはつかつかと歩み寄ってきた。
「まさか3号さん。丸め込まれたんじゃないでしょうね……? ウラギリは許さないよ!」
鬼の形相とはまさにこのことだ。
「謎解けたんでしょ。教えなさいよ!」
サプライズパーティーのことを教える
あなたはみーちゃんに弥彦さんの計画を話した。
みーちゃんの誕生日にサプライズパーティーを計画していたこと。
謎の回覧表は、アパートの住民たちに協力をお願いするためのものだったこと。
4号室から聞こえていた物音は、そのための準備によるものだったこと
「サプライズじゃなくなっちゃったけど、みーちゃんの誕生日は、アパートのみんなで盛大に祝おうよ」とあなたは言った。
みーちゃんは驚いていたが、何も言わずにただうなずくと、自分の部屋へと帰っていった。
あなたは秘密をバラしてしまった。
弥彦さんや住民たちが、みーちゃんにバレないようにやってきた準備も無駄になってしまった。
みーちゃんが隠しごとが嫌いとはいえ、やはりサプライズパーティーのことを言うべきではなかったのかもしれない。
それに、気になるのはみーちゃんの表情だ。
部屋へと戻っていくみーちゃんは、どことなく寂しそうだった。
この七夕荘には、まだ他にも隠しごとがあるのかもしれない……。
※まだすべての謎は解き明かせていないようだ! 戻って選択肢をやり直そう。