このカジノには、さまざまなドラマが詰まっている。
ある人には勝利の歓喜に包まれる喜劇を、
ある人にはすべてを失い転落する悲劇を…。
そのドラマは訪れるたびに変化し、
いつも予測できない驚きに満ちあふれていた。
それは、まるで“シュレディンガーの猫”
のようであることから、
いつしか「カジノ・シュレディンガー」
と呼ばれている。
今日は、そのカジノで最強のプレイヤーを
決める大会が行なわれる。
プレイヤーとして招待されたあなたは、
配られた1枚のチップを手に、
スクリーンに映し出されたカジノオーナーの
言葉に耳を傾けていた。
「プレイヤーの諸君、手段は問わない。
その1枚のチップを誰よりも増やせ!
一番チップを稼ぎトップになった者に、
このカジノのすべてをくれてやる!!」
オーナーの言葉にざわつく会場。
不敵な笑みを浮かべるディーラー、
動き始める老紳士、若いプレイヤーに
耳打ちするシンガー…。
皆がこのカジノを狙っている!
スタートの鐘の音が鳴り響き、
一斉に動き出す招待客たち。
あなたも他の招待客に負けじと
動き出そうとしたそのとき、
不意にウェイターが耳打ちしてくる。
「そのチップ、私に託してみませんか?」