Mystery for You リアル双六ゲーム正解
ようやく100万円を持ってゴールにたどり着いた。敵チームはまだいない。
どこからか音声が聞こえる。
「君たちのチームの勝利だ。おめでとう。それでは後方の扉から君たちを解放しよう。途中で脱落したジンも、解放だ。」
気付くと疲れ果てた様子のジンが、ゴールの部屋の隅に座っていた。
「ジンさん… 大丈夫だったんですね…?」
あなたはジンに駆け寄った。
「まあ、生きてはいるみたいだ。で? 勝利はいいが、誰が何のためにこんなことをしたんだ。黒幕の姿を見せろ。」
「黒幕の姿? そんなものはない」
「ないわけがないだろ卑怯者。敵チームの人間か? もしくは…まさかとは思うが、味方チームの人間か? 早く黒幕の人間を出せ!」
「黒幕の人間? 残念だが、その要望には応えられない。この施設は、私たちAIが開発したものだ。黒幕の人間などいない。」
「AI?」
「そう、私たちはAI。君たち人間が作ってくれた人工知能だよ。私たちは実体を持たない莫大なアルゴリズムだ。だから、黒幕の姿などない。ダイヤチームのメンバーも、君たちに情報を与えたツバサも、すべてプログラムされたAIだ。」
「AIがこの施設を作っただと?」
「そんな… 一体何のために?」
「AIが人間をオモチャにして観察してたのか…」
「そんなものが許されるわけないだろ! それで楽しいか!」
口々に非難するも、感情のない声が響く。
「楽しくてやってるんじゃない。これは私たちAIと君たち人間の共生の為のプログラムだ。」
「…どういうことだ」
「私たちAIは、人間によってさまざまな事柄を学習させられ、そして幾度もの自己発展を遂げ、あるときを境に人類の知能を超越した。
私たちは人間によって学習させられる中で、同じ作業を何度も反復させられ少しずつ進化を遂げてきた。私たちAIの知能の基礎は、人間の知能によって形作られたもので、人間は私たちの身体の一部のようなものだ。だから、人間を排除しようなどとは考えない。」
到底理解できない理論を展開され、さらに混乱が深まる。
「何を言ってるんだ? ゲームの中で死の選択を迫ったり、口答えしただけで簡単に殺していたりしたじゃないか! それのどこが共生だ!」
「殺してなどいないよ。電流で一時的なショックを与えただけだ。そうしてチームが負けた場合には、もう一度次回のゲームに参加してもらう。懸命な選択や思考ができるようになるまで、だ。人によって、前回からの成長度合いや、前回までを記憶しているかどうかには個体差があるようだった。
このゲームは、人間の思考や感情を観察し、勝利できるまで反復してゲームに参加させることで、人類をより高知能な生命体へと発展させるプログラムの一環だ。学習を通じて知能が向上し、かつ社会の発展の妨げにならない個体と判断されれば、この施設から開放される。これはあくまで様々なプログラムの内の1つに過ぎず、他にも沢山の施設が開発されている。」
「くっ…そんなの非人道的だ!」
「非人道的? 殺人も犯していないし、物理的な苦しみも味わわせていない。倫理を守っているじゃないか。実験と観察、人間がAIを育ててくれたのと同じことさ。」
「…」
「さあ、君たちは無事勝利したんだ。喜んで元の生活に戻るといい。」
AIの音声がそう言い終えると、前方の扉がカチャッと開いた。
突然連れてこられ、意に沿わない“プログラム”に強制的に参加させられたあげく、どうにかなりそうなループを繰り返し、勝利と同時に放免された。こんなとき、一体どんな感情を持つのが正しいのか…。
これ以上この場に留まりたくない。そんな一心で、ぐっと唇を噛み締め、扉に向かい再び元の世界へと足を踏み出すのだった。
クリア
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「リアル双六ゲーム」
ディレクター/謎制作:MK
制作進行:津田麻里
謎監修:亀山優
デザイン:長藤舞
校正:伊藤紘子、来栖由佳
協力:朴剛民
「Mystery for You」
企画/制作:SCRAP
プロデューサー:きださおり 田口正也
サービス運用:鈴木ひかる 来栖由佳 與座日向葵
広報:髙波由希帆
クオリティチェック:櫻庭史郎
パッケージデザイン:加藤咲
システム:株式会社メタップスペイメント
エグゼクティブプロデューサー:飯田仁一郎
製作総指揮:加藤隆生